ひとりで涙が止まらなかった。 

昔からなぜか、
行きづまったり、悲しくて仕方なかったり、
自分が許せなくなったりすると、
教会に出向いた。

旅先でも、教会を見つけると、
立ち寄りたくなる。

息子のハンディがわかったばかりで、
必死で自分を保っていた頃。

本当はどうしていいかわからなくて、
何を目指したらいいかもわからなくて、

ただ、聴いていた音楽のテープは全部捨てた。

耳の聴こえない息子を前に、
わたしが音楽を楽しむことは、
許されない気が、その時はしてしまったから。

当時、ベビーカーの息子と散歩しながら見つけた、
島本町の教会。

その教会で、コンサートの案内をみた。
なぜか、行ってみようと思った。

舞台に現れたのは、
レーナ・マリア(Lena Maria)さん。
スウェーデン出身のゴスペルシンガー。

出生時から両腕がなく、
左脚が右脚の半分の長さだ。

会場には車いす席もたくさん用意されていて、
そして壇上には手話通訳者がいた。

その前には、聴覚にハンディのある方が、
たくさん座っていた。

それをみて、
あー、音楽もこうやって見て楽しむことができるんだ。
感じることができるんだと初めて知り、
ひとりで涙が止まらなかった。

彼女ののびやかな歌声と、
透明感のある笑顔に、魅かれた。

そこから、わたしは、
少しずつ音楽を聴くようになり、
息子のカラダを揺らしながら、
一緒に歌うことも増えていった。

彼女はソウルパラリンピックにも、
水泳選手として出場している。

少し古い動画だけれど、
彼女の生活ぶりも紹介されているものを見つけたので、
貼り付けます。

2分18秒ほどの短いものなので、
よかったらご覧ください。

今朝は久しぶりに、
レーナ・マリアさんのCDを引っ張りだしてきて、
聴きながら、おにぎりをむすびました。

写真は昨年、夕暮れ時に訪れた教会。

2015.1 San Francisco

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