2年前の11月。
息子が2歳の時から4年間、
毎日通った聴覚特別支援学校の、
隣にある公園にたたずんだ。
思いがけず、
涙があふれてきた。
当時は何もかもが不安で、
何もかもに一生懸命で、
自分のことなんてまったく考えられなくて、
いうこときかない息子に困って、
イライラしている自分が嫌で、
だけどそんな自分から逃げ出すこともできなくて、
本当につらかった。
今思えば、
楽しいこともいっぱいあったはずなんだけど。
・
・
・
「ここに、10年前のあなたが座っているとしたら、
今のあなたは何と声をかける?」
と、一緒にいた人に、ふいに質問された。
でてきた答えは、
「よくがんばってるね。
絶対だいじょうぶ。
絶対だいじょうぶだからね。」
今、目の前で、若いお母さんが、
もし心細そうにしていたら、
わたしは、そう、声をかけるんだな。
心の底からはっきり感じた。
そこから1年後。
美月ここねとして本を書いた。
そしてさらにそこから1年後の今日。
この学校で、
息子と私がお世話になったこの聴覚特別支援学校で、
難聴児を育てている若いママ達に、
話をする機会をいただいた。
事前のアンケートに寄せられている質問には、
障がいが分かったとき、
どうやって気持ちをたてなおしたのか。
こどもがつまずいた時、
どう関わったらいいのか。
人工内耳をして、
息子さんは今、どう思っているのか。
こども自身が障害に気づいたとき、
どんな話をしたか。
具体的な質問が並んでる。
主催者の方のゴールは、
日々不安な中で、疲れているママ達が、
だいじょうぶ。と安心して、
また前を向けているといいな。
・
・
・
そこに、
みんなでいけたらいいなと思います。
この学校の幼稚部を卒業した息子は、
聾学校の先生になりたいと言って、
高校の時の就学体験で、
聾学校小学部で話をさせてもらいました。
そして大学に進学。
下宿先についた引っ越しの段ボールから、
ここね本が出てきたときには、泣けた。
聴こえる親の気持ち。
聴こえない子どもの気持ち。
いろんなことがわかる先生になれたらいいね。
歩くだけで涙が出そうになる、
学校に向かう道。
15年前の息子や息子の友達たち。
ママ友や先生方。
そして自分自身に会いにいくような気持ちです。