Tonamin様「自分の人生を愛おしく思える本でした。」
”心の声が聴こえるよ”から想像出来るように、
この本は著者さんの聴覚障がいのお子さんの子育てがテーマです。
ご縁があってこの本を手にしたときは、
子どもも、聴覚障がいのある身内もいない私にとっては
自分とは少し縁遠い世界のお話を読んで勉強させていただこう、
というような気持ちでした。
でも、読み終わったとき、
著者さんの子育て中の悩みも悲しみも喜びもつまった毎日とともに、
私自身のこれまでの人生のいろいろな出来事も振り返ったような
そんな気持ちになっていました。
あぁ、私もこれまでひとつひとつの場面で、頑張ってきた。
いろいろあったなぁ、それで今があるんだなぁ、
人生って愛おしいなぁとにっこりできるような
そんな気持ちになっていて正直びっくりしました。
この本には、
人工内耳について、難聴児のための訓練の内容や、
お子さんが使い分けに苦労した言葉について、
など聴覚障がいに関する知識が
コラムという形で紹介されています。
だから、
特にご自分のお子さんが聴覚に障がいがある
ということを受け止めて間もないご家族や
周りの大人の方には、参考になる情報も多いでしょう。
でも、聴覚障がいのある子どもの育て方のノウハウを
伝えているだけの本ではないと感じました。
著者さんが母親として子どもとどう向き合ってきたか、
日々発生する出来事に自分が何を感じたかが
等身大の瑞々しい言葉で書かれている本です。
それによって、
著者さんが気づいた大事なことを
一緒に確認しながら、
子どもがいなくても、障がいが身近でなくても、
大人がふと自分の過去10年くらいを振り返って
優しい気持ちになることが出来ました。
また、文章で心が動いたところに
挿絵を見て、涙があふれることが何度もありました。
挿絵の素晴らしさも書き加えておきたいです。
子どもがいてもいなくても、
障がいが身近であってもなくても、
すべての大人にお勧めしたい本です。