後悔なき人生を。 | 美月ここねofficial site

後悔なき人生を。

大学時代、視覚に障がいのある方への、
ボランティアグループに所属していた。

最寄駅で出会った白杖の彼女に、
右ひじにつかまってもらいながら、
大学へ向かう上り坂。

ふと上を見ると、
木漏れ日が美しい新緑だった。

思わず、
「綺麗ねー」と言ってしまい、

しまった。見えないんだった。
と思った矢先に彼女は、

「ほんまやねー。」と言った。

しまった、と言ったことに、
しまったと思った。

障がいは、自分の心の中にある。
それを痛感した出来事。

あれから約30年。

一緒にボランティア活動をした後輩が、
闘病の末、亡くなり、
彼を偲ぶ会が学内で行われ、
大学に足を運んだ。

最寄駅からバスは出ているけれど、
あえてその坂道を歩く。

今日も、あの時と同じ木漏れ日が溢れてて。

彼は優しいような、厳しいような、
思いっきりがいいような、シャイなような、

一緒にバイクも乗ったし、
たくさんいろんな話もしたし、
ケンカもした。

大きな正義感と愛情の持ち主だった。

同じボランティアグループのメンバーと結婚し、
仲睦まじくしていることは聞いていて、

今日はその彼女から、
どれだけ勇敢に病と闘ってきたかを教えてもらった。

みんなで校歌を歌った。空の翼。
30年経っても覚えているもんだ。
歌っていると、いろんなシーンを思い出して、
胸の奥がツンとなった。

そして会がお開きになり、
別れ際、ぎゅっと彼女をハグした時に、
初めて、ちゃんと、
彼の死に向き合えた気がする。

知らせを聞いた時も、
お葬式が行われた時間も、
今日の黙祷も、
そっと手を合わせたけれど、

帰りの電車の中で、
はじめて涙が出そうになった。

お互いに元気に再会したかったなと。

会いたい人に、
会えるのだとしたら、

それはとても幸せなこと。
それはとてもありがたいこと。

いつでも会える、なんて嘘だ。

次に会えることを当たり前に思わずに、
連絡を取り合えることが当たり前だと思わずに、

後悔なき人生を。

 

 

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