積み重ねてきた一つの愛情のカタチ | 美月ここねofficial site

積み重ねてきた一つの愛情のカタチ

長男は、2歳から5歳まで聾学校だった。
親に宿題が出る。
毎晩、その日にあったことを絵日記を描く。
そしてそれを元に、翌日、子どもにお話をする。

いわゆる言葉のシャワー。

健聴の子が10回聞けば覚える単語を、
難聴の子は300回聞かないと覚えられないと言われ、
ただひたすら、言葉をかけ続ける。

そのための題材に、
本人が体験したことはとても大切。
だから親が絵日記を描く。

絵が苦手だった私は、とても苦痛だった。
でもどうすれば喜んで見てくれるか=お話できるか、
どうすれば言葉が少しでもたくさん入るか、

それを思うと、
どんどん手がこんでいった。
そしてそれが楽しくもなっていった。

絵だけだった絵日記は、
子どもの成長に合わせて、
ひらがなを添えるようになり、
単語や、てにをは、を教えるようになる。

そして少しずつ本人が文字を書き、
聞こえの修正をしていく。

しんやせん→しんかんせん
ねんかしょう→ねんがじょう
ものえる→ものれーる
おおみしょが→おおみそか

正確に入力できないと、
文字変換もできないだろう。

手紙も、うまくかけない。

彼らは子音が聞き取りにくい。
だから、チーズが椅子に聞こえたり、
納豆が学校に聞こえたり、

ちょっと葬式に行ってくるわ。
が、ちょっと掃除に行ってくるわ。
に聞こえたり。

取り違えで、誤解をすることも、
誤解をされることもある。

将来、少しでも困らないように、
必死に絵日記を描き、言葉を教えた。

その4年間ほどの積み重ねが、
今の私を形作っていると知った。

毎日何かないかな、とアンテナをはる。
それを言語化する。

その練習を、
その4年でさせてもらっていたんだと、
気づかせてもらった。

この絵日記は、
スケッチブックで30冊ほどになる。
断捨離をしているけれど、
これは捨てられないタカラモノ。
一つの愛情のカタチ。

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