「革のしおり」 | 美月ここねofficial site

「革のしおり」

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「革のしおり」

いつも楽しみに参加させてもらっていた
ある人主催の読書会が終わった。

参加者の中に、
革細工の作家さんがいて、
私たち参加者みんなに、プレゼントをくれた。

革の作品を作った後の、
革の端切れでできた茶色のしおり。

そのほとんどは長方形で、
それなりに整った形をしていた。

しかし中にひとつ、
見るからにいびつなものがあった。

ひと目見たときに、
一番にそれに目が行ったが、

元来、枠にはまることを心地よく思ってきた私は、
心の中では気になりながらも、
結局、無難な形のものを手にとった。

それでも、その、
ちょっと変わった形のしおりから目が離せない。

最後、主催の方が、勢いよく、
その歪なしおりを手に取った。
とても嬉しそうだった。

立場上、みんなに順番を譲りながらも、
最初からそれが欲しかったのかもしれない。

途端に、私は、あろうことか、
それが欲しくなった。
「やっぱりわたしそれがいい・・・。」

今まで私は、
きちんとした形のものに惹かれてきた。

欠けたものにがあると、そこに目が行ってしまう。
欠けていることが許されないと思っていた。

でも、いびつなしおりをわざわざ選ぶその人をみて、
すごく素敵だなと思った。

そのしおりがあれば、
いつでも今日のことが思い出せる。

歪なことを、欠けていることを、
愛おしく思える気持ち、
素敵だね、と思える気持ちを持っている人が、
私の友達に、いる。

そのことを、
このしおりを見るたびに、
思い出せると思った。

私が思った以上に、思い入れがあったのか、
しばらくその人は、想像以上に、考え込んだ。

あー、やっぱり、悪いこと言っちゃったな。
順番で選んだのに、
今さら、それがいいなんて、あかんよな。
なんか、すごい、困らせちゃってる。

「それがほしい」と言った自分を恥じ、
後悔しかけたとき、

「いいよ、そのかわり大事にしてよ」

その人は、
あんなにうれしそうに手にしたしおりを、
私に渡してくれた。

そのしおりが今もここにある。

私は、愛せるようになったのだろうか。
欠けていることや、いびつなことを。

あらためて、問いかける。

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